▼ゆうと君とモブ君の彼女ができるまでの話(ゆうと君視点)
あのホテルの一件があったあと、モブと気まずすぎて、普段は普通の会話さえ不可能だった。しかし、だからといってモブと会わないということはなかった。
あれからモブに休日よく部屋に呼ばれる。俺が行くと、鍵があけてあり、俺は呼び鈴を鳴らすこともなく中に入り、鍵を閉める。
いつものように脱衣かごに入った衣装を見る。こういうものはやはり通販で買うのだろうか?シャワーを借り、体をきれいにしてから、用意された衣装を着て、部屋に入る。
モブは大体黒ビキニのようなパンツをはいて待っている。俺の姿を見て「おお…」とか感動したような声を上げて、勃起を隠そうともしない。
寒くないように暖房が効いた部屋の中、テーブルには大量の映画のDVD、本、PC+食べ物がおいてある。俺は大体土曜の昼か夜におとずれ、翌日の日曜に帰る。それまでほぼ一度も外に出ずにずっと同じ部屋に2人でいる。
このわけの分からない「うちに遊びに来る」は、いつ決まったか定かではないが、暗黙的、あるいは明文的(口で言ったりしただけだが)にルールがある。
※明文ルール
1.俺(ゆうと)はアパートに来たら体を洗い、用意された衣装を着て部屋に入るまでモブに会わない。
2.基本的に2人は部屋から出ないし、呼び鈴にも電話にも出ない。
3.俺(ゆうと)は、用があるとき以外しゃべらない。
4.帰るまでにお互いの顔出し写真を1枚以上撮影し、お互いのスマホに保存しておく。
5.ここであったことは誰にも話さない。
※暗黙ルール
6.モブのリクエストにはなるべく答える。
7.俺(ゆうと)は無駄毛は剃る。
8.勃起しても隠さない。
明文ルールには意味がある。基本的には「この空間は現実ではない」という1点に尽きる。
例えば、3.の「俺は、用があるとき以外しゃべらない。」というのは、声が男だからだ。モブは俺を完全に女として見たいのだと思う。
4.の写真を撮ってお互いに持つのは、他言防止や、関係が悪化したときのリベンジポルノ防止のためだろう(明らかに別用途の写真も取らされたりするが)。
6.のリクエストというのは、口で言うときもあるが、いきなり尻や足を揉まれたりすることもある。大体は着ている衣装でポーズをとらせられ、あきもせずあちこちを眺めている。あるいは股間を目の前に近づけたり、ひざの上に座らせられたりもした。俺がこの部屋に来ている時点で、モブの求めには大体応じると言っているようなものだった。
7.の「無駄毛は剃る」というのは、初め用意された衣装がそれを隠すようなものばかりだったため、この「訪問の主旨」を理解していた俺が自発的にやったことだった。それ以来モブはもっときわどい衣装を選ぶようになった。
俺たちはこのルールで一緒にいて、あのときのように一線を越えたことはない。DVDや本やPCで遊んで終わる。外に出ないのも喋れないのも苦痛ではない。
俺はモブの考えていることがなんとなく分かる。これは「どっちが先にその気になるか?」という話ではなく、そこで止めたいだけだと思う。あのときの背徳感と快感が凄まじかったが、終わった後の罪悪感、後ろめたさもそれに比例して凄まじかった。しかしここで止めれば、あの時の感覚だけをお互い蓄積し、後で自分で処理できる。
何かキッカケがあれば一気に流されてしまいそうな、ギリギリの付き合いをしている。もう一度体験すれば戻れなくなるかもしれない。せめて自分達がノンケであるという証明をしてからでないと・・・。
このシチュエーションいいですね!
返信削除続き気になります!